第11章 ガーデンパーティー
食事の準備をしてくれている彼女に、
ふと、聞いてみた。
『ね、料理アドバイザーってさ、
料理研究家とかとは違うの?』
『料理アドバイザーって、
私が勝手に名乗ってる職業なのかも。
研究したり、栄養や食育の指導とかって
私の得意分野じゃないから。』
『アキの得意分野は、何?』
『その人が作りたいものを教える、
っていうか…
お料理が苦痛にならないようなアドバイス。』
『例えば?』
『子育てや仕事で忙しい人には、
簡単で使い回せる手軽な料理、とか。
料理の経験がない人だったら、
切り方とかはおいといて、とにかく、
まずは自分が食べたいものを
作ってみる、とか。
独り暮らしを始める人だったら、
保存がきくおかず、とか。
農家さんだったら、
その食材をアピール出来る料理とか、
出荷できないものを家で食べる時に
飽きずにたくさん消費出来る料理とか。
個人個人の要望にあわせた
アドバイスをしてあげたいのよね。
あと、もう1つ、好き仕事があって…』
『好きな仕事?何?』
『思い出の味の再現。
もう一回食べてみたい、っていう
大事な思い出の味を再現するお手伝い。』
『おふくろの味、的な?』
『そう。それとか、ほら、
忘れられない給食、とか、
学生時代に通った定食屋の味、とか。』
『それ、おもしろいね。』
『ピッタリの味にたどり着くと、
泣いちゃう人も結構いるよ。
コーシも、食べ物の思い出、何かあるでしょ?』