第10章 公開プロポーズ

『ヘイヘイヘ～イ！』

飛びついてきた光太郎に抱き締められ、
観光客の中から、
大きな拍手や
ヒューヒューという歓声があがった。

『お兄さん、こんげな時は
指輪、渡すっちゃなかと？』

あ、そうだそうだ、と言いながら
ゴソゴソとカバンに手をいれる。

『あ、ヤベ！ホテルに忘れてきた！』

観光客が、ドッと笑う。

『そんなら、このキーホルダーやるけん。
二人でこれをはめて記念撮影しんしゃい。
結婚40年の私らの買うたもんやけ、
新婚さんには縁起もんやろ。』

と、初老の夫婦が
ご当地キャラクターのキーホルダーを
二つ、袋から取り出して渡してくれた。

私たちは、薬指に
指輪がわりのキーホルダーをぶらさげて、
観光客のみなさんと記念撮影をする。


…なんておかしな写真なんだろう。
知らない人ばっかり写ってる(笑)…