第10章 公開プロポーズ
並んだ観光客の前列の人たちが
横断幕のようなものを広げた。
書いてある文字を見てビックリする。
光太郎のダイナミックな筆文字で
"アキ、けっこんしよーぜっ!"
並んでこっちを見守る観光客から
口々に
『兄ちゃん、頑張れ~!』
『ビシッと、はよ言わんかぁ。』
…と、声援がとんでくる。
光太郎は、
そのどの声よりも大きな声で
私に向かって言った。
『アキーっ。
明日のことはわかんねーから
お前を絶対幸せに出来るって断言できねぇ。
でも、
お前のこと、
絶対退屈させねー自信はある。
俺と一緒に、毎日、
ドキドキしながら生きて行こーぜっ!』
…びっくりして、声が出ない。
『コ、コウタ、ロ…』
観光客の中から声があがる。
『ねーちゃん、どんげすっとね?』
『イエスか?ノーか?』
…こんな状況でノーと言えるほど、
私、心臓、強くないです(笑)
だから、
光太郎に負けないくらい
大きな声で答える。
『イ、イエスで、お願いしますっ!』