第27章 ウェディングプランナー
『夜っ久ん…こりゃまた盛大だな?』
『うん。
花巻君にヘアメイクと写真を頼むついでに
ちょっと相談したらさ、
すぐに烏野と青城に連絡とってくれて。
みんな、喜んで集まってくれたよ。
…ほら、とにかく、前まで行って!』
夜っ久んに背中を押され、我に返る。
横でびっくりしてるアキが
いきなり、俺の頬をつまんできた。
『いてっ!なんでいっつも、俺の顔?』
会場中が笑いに包まれる。
『早瀬ちゃん、夢じゃねーぞ!』
…これは、烏野の金髪コーチの声だ。
『おい、黒尾~、
イチャイチャしてねぇで、さっさと歩け~!』
…これは木兎の賑やかな声。
『木兎、相変わらずうるせーなっ(笑)』
これからどんな展開になるのか
まったくわからねーけど…
夜っ久んに任せとけば、大丈夫だろ。
ウルウルしてるアキの手を取り、
ヴァージンロードを歩く。
花巻さんと夜っ久んとこを入れたら
27組の夫婦と子供達。
その誰もが
拍手とおめでとうの言葉をかけてくれる。
正面に着いた俺たちを
客席に向かって立たせた夜っ久んが、
大きな声で言った。
『それでは、これより、
俺たち音駒の頼れる主将、黒尾 鉄朗君と
皆さんの結婚を見守り、
やっと自分が結婚する気になった、
責任感あふれるウェディングプランナー、
早瀬アキさんの、人前結婚式を始めます。
ここからの司会は、
烏野高校の、武田一鉄先生、
よろしくお願いします。』
うぇ~い、たーけちゃーん、
…と、烏野のヤツらから声があがり、
相変わらず眼鏡姿で優しそうな
武田先生が前へとやってくる。
…この100人近い顔ぶれの中で、
一番、というか唯一、
安心して任せられそうな人だな(笑)
アキに
サプライズを仕掛けたつもりだったのに
なぜか俺もサプライズに巻き込まれる、という
予想外の展開に戸惑いつつ、
でも
ワクワクしているのも
正直なところ。
だって
今、ここにいるヤツみんな、
高校時代、同じ目標に向かって
それぞれの場所で戦ってたんだ。
それが今、
みんな違う環境なのに
集まって、心を1つにしてる。
楽しいことが起こるに違いないじゃん。
だって、俺たちみんな、
上を向いて繋ぐスポーツ、
"バレーボール"が大好きな仲間だぜ!?