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ウェディングプランナー(R18) Hi-Q

第27章 ウェディングプランナー



アキが会社を辞める日。

俺が夜っ久んに頼んだのは
それほど大したことではなく、

『写真くらい撮りたいんだけどさ、
せっかくだから、
音駒で都合つくヤツいたら、
声かけて、賑やかにしてやれねーかな?
しんみり終わんの、淋しいじゃん。』

くらいのことだけだった。

だから、
風船にメッセージがついてるのを見て、
それが烏野や青城や梟谷の分もあったことに
まず、びっくりして。

で、そのまま夜っ久んに言われた場所で
こっそり、アキが来るのを待ってて、
いざ、その姿を見た時は、さらに驚いた。

本当に、輝いていたんだ。

いつも、男前な彼女が。
いつも、ナチュラルな彼女が。
いつも、人の幸せばかり考えてた彼女が。

どこから見ても、
気品に満ち溢れた花嫁だった。

日頃とのギャップのせいもあって、
本当に、映画の主役のようで。

いつも彼女が言っていた
"花嫁の特別な輝き"って、これか…

その姿を見たら、ジンとした。
…男として、これほど誇らしいことはない。


それと同時に
違った思いが心に浮かぶ。

バルーンを1つ1つ手に取りながら
写真を眺め、メッセージを読んで
微笑む姿を見て、胸が痛んだ。

…仕事、辞めるんだな。
大好きな仕事。
今日まで彼女の生き甲斐だった仕事。
たくさんの人に感謝されてきた仕事を。

アキが決めたことだし、
どのみち、ここに残っても
プランナーではいられない。
それに、
出産を考えたら、いずれ1度は
休まなければならないのだけど。

そんな複雑な気持ちで、彼女を見ていた。

そして、

猫又監督から預かった焼酎を渡し、
俺を見つけた時のアキといったら。

本当に、
花が咲いた瞬間のような
美しさだった。

瞳が輝き、
頬が色付き、
恥じらい、うつむく姿。

…やっぱり、よかった。

大したことは出来ないけど
やっぱりウェディングドレスを
着せてやれてよかった。

本当に、それでよかったんだ。

だから、
チャペルの扉を開いた瞬間の驚きは、
おそらく俺も、
アキと同じだったと思う。

音駒のヤツらはもちろんのこと、
烏野も梟谷も、
(俺は初めて会う)青城も、
東京も宮城も、
プロもそうでないヤツも、みんな。
子供も30人以上、いる。

…とにかく、チャペルの中は、満席で。


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