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ウェディングプランナー(R18) Hi-Q

第27章 ウェディングプランナー



『はい、俺達からも。』

夜久君が、バルーンを差し出す。
ポラロイドには、まぁちゃんを挟んだ
夜久君と夏希ちゃん。

"おめでとう!
二人が近くにいなくなるのは淋しいけど、
でもそれより何より、嬉しいよ。
ずっと仲間で、ずっと友達でいような。"

…本当に嬉しくて
本当に感謝してる時、
言葉って出てこないんだな、って
初めて、知った。
だけどそれでも充分、伝わることも。

ありがとう、しか思い浮かばない。

『これは、猫又監督から。』

バルーンの下に結びつけられているのは
"はじまり"という名前の
ちょっとおシャレなスパークリング焼酎。

そしてそれを差し出しているのは、


二ヶ月ぶりに会う、最愛の人。
…胸がいっぱいで、言葉がでない。


黒尾さんは、黒のタキシード。
本当によく似合ってて…
あまりにステキで目が離せないでいたら、

逆に、見つめられる。

そうだ、私も、いつもと違うんだった。
恥ずかしくて
どんな顔をしていいかわからなくて。

…笑わない、でね?…

『…アキがよく言ってた
"特別な輝き"って、これなのか…』

『ちょっとクロ、テレてないでさ、
ちゃんと言いなさいよ!』

夏希ちゃんの言葉に答えるように
黒尾さんが耳元に口を寄せた。

『スッゲー眩しい。キレイだよ。』

…他の人には聴こえてないはずなのに
なぜかみんな、
すごく嬉しそうな顔をしてくれてて。

『花巻さん、でしたよね。
初めまして、黒尾です。
俺の奥さんをこんなにキレイにして頂いて…
ありがとうございます。』

『いえいえ、こちらこそ。
早瀬ちゃんは
最高のウェディングプランナーですよ。
俺たちも、早瀬ちゃんのおかげで
忘れられない結婚式を挙げられたし、
仕事もいつも楽しかったから。
恩返しできて、よかった。』

思い出す。
あの日、鏡の中で、
同じ方向を向いて見つめあっていた
花巻さんと奥さん。

二人とはずっと
一緒に結婚式を作ってきた。

いつも花嫁を輝かせてくれる
花巻さんのヘアメイク。

その日のあらゆる角度からの幸せを
四角い枠の中に残してくれる、
奥様の写真。

どれも、二人の
優しくて誠実な人柄が出てて
大好きだった。

…今まで、ありがとう。

ほんと、ありきたりの言葉だけど。
それしか思い浮かばない。

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