• テキストサイズ

ウェディングプランナー(R18) Hi-Q

第27章 ウェディングプランナー



新郎新婦用の
エレベーターからおりると、

そこは、
チャペルに繋がる廊下。

この建物のなかでも
私が大好きな場所のひとつ。

あの、N.Yの有名宝石店の
シンボルカラーみたいな色、
ミントブルーの壁と天井に
白と金で模様が施され、
右側には大きな窓。

…晴れた日は、その窓の向こうに
いっぱいの海と空の青が広がり、

夕暮れ時は、移り変わる
紺色とオレンジのグラテーション、

そして今は、
夜空に浮かぶ大きくて真っ白な月と
海にかかる"月の道"…が見えている。


…その通路の天井に
なぜか、
まるで星のような色の
シャンパンゴールドの風船が
たくさん浮いていて、

風船から伸びる細いリボンには
ひとつひとつ、
ポラロイドの写真がぶら下がっている。



『…これ…は?』

『ほら、見てこいよ。』

夜久君が、
私の背中を押す。


写真にうつっているのは

今まで私が立ち会ってきた
たくさんの新郎新婦たちの、今の姿。

そこには、
一言づつ、メッセージも書かれていた。

『みんな、
早瀬ちゃんの"大事な友達"だよ。
あなたに出逢えてよかった、って
思ってくれてる人ばっかり。』

夏希ちゃんの声が
背中から追いかけてくる。

まるで
天の川みたいに輝く風船を、

1つ1つ、手にとり、集めていく。

懐かしさと想い出が、
川のように流れこんできた。

あぁ、
私、今、
すごく、幸せ。

だってみんなが
こんなに幸せそうだから。

『私が立ち会ってきた新郎新婦が
みんな幸せでありますように。』

それが、
私の何よりの願いだから。



…覚えてる。

どのお二人も、
どの式も、
どの披露宴も、
どのエピソードも、

全部、覚えてる。


微笑みも、
笑いも、
感動も、
涙も、


手に取るように、
覚えてる。



…私の心のなかで
あっと言う間に
その一つ一つの晴れの日の瞬間に
記憶がさかのぼっていく。…

/ 1378ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp