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ウェディングプランナー(R18) Hi-Q

第27章 ウェディングプランナー



昼飯時。
ゴソゴソ、と
鞄からパンを取り出したら
目ざとい早瀬が
それを見ていたらしい。

『あれ、今日もお弁当じゃないんだ?
夏希ちゃんとケンカ?』

『ちっげーよ!』

仕事以外のことだと、
口を開けばケンカごしの俺たち。

でも…早瀬には言っておこう。
急な時に一番頼れるのは、早瀬だ。

『ちょ、いい?』

事務所を出て、裏口へ連れ出した。

『な、なによ?文句言うなら、
わざわざこんなとこ、呼び出さなくても…』

『違うんだって。
早瀬には、言っておこうと思って。』

『…なに?』

『あのさ、夏希、妊娠したんだ。』

『え?!やーん、よかったじゃん!
…なんで、私だけ?みんなに言えば?』

『まだ安定期じゃないんだけど
あんまり体調、よくなくて。
もう、仕事も辞めてて、
ちょっと入院してたり、
家で安静にしてたりが続いててさ。』

『…知らなかった。』

『まだどうなるかわかんねぇから
会社にも言えないじゃん。
…もしかして俺がほら、
病院ついていったり、
ちょっと様子見に行ったりするときとか、
早瀬に仕事を頼らなきゃいけないことも
あるかもな、って思って。
…みんなには、まだ内緒で。頼む。』

『そうなのね、わかった。
そりゃ確かに、お弁当どころじゃないわ。』

『うん。』

…事務所に戻りながら、
俺たちにしては珍しく小声で話す。

『結婚したら、なんとなく子供授かって
家族が増えるイメージだったけどさ、
そうでもないって、初めて知ったよ。』

『…そう、なんだ。』

『今までゴムしてたのはなんだったんだ?
ってくらい、すぐには出来ねぇのな(笑)』

『なに、そのストレートな感想(笑)』

『女も子供も、命がけなんだな、って。
男は見てるだけしか出来ねぇな、って。』

俺にしては真面目な語り口に、
早瀬も茶化したりせず、
真面目に答えてくれる。

『心配してくれたり、
家のことしてくれるだけでも
きっと夏希ちゃん、心強いと思うよ。
出来るだけ、早く帰ってあげて。
残業、私が代わるから。』

…ありがたい。と思う反面、
今は、心から思うんだ。

『余計なお世話だと思うけどさ、』

…本当に余計なお世話だと思うけど。
俺の、今、思ってることだから、言う。

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