第27章 ウェディングプランナー

翌日からは、
今までにも増して、
仕事に熱心に取り組んだ。

早く帰ったって、
別に、することはない。
こっちに残ることを受け入れてくれた
黒尾さんの気持ちにも応えたくて
とにかく、心を込めて仕事した。


今まで気にしたことなかったんだけど、
自分がこうなってみると、
案外、遠距離恋愛を乗り越えて
結婚するカップルって多い気がする。

打ち合わせの雑談の中で
遠距離中のエピソードを聞きながら
勇気をもらっていた。

だって、ここに来る人はみんな、
恋愛中のいろんなことを乗り越えて
結婚にたどり着いた人ばかりだから。

悩んだり、泣いたり、
ケンカしたり、1度は別れたり…
そんなことがあっても
ちゃんと幸せになってる人が
こんなにいるんだもん。

私と黒尾さんだけ
乗り越えられないわけ、ないよね。

仕事のために
遠距離を選んだけど、

仕事のお陰で
遠距離を乗り越える力ももらってる、

…そう思わないとやってられない(笑)

凹みそうになるたび、
机の上の写真を見る。

岩泉様の和婚式の後に
青城四人組の皆様と撮った写真。

赤葦様の突然の小さな挙式の後に
みんなで撮ったカジュアルな写真。

そのあとの、
木葉様とエリさんの披露宴の後に
梟チームの皆さん…そしてお腹の子供達…
みんなで撮った写真。

夜久君、夏希ちゃんと
３人で撮った写真も。

誰一人、ラクして、HAPPYだけで
ここにたどり着いた人はいない。

みんな、
この日を迎えるために、努力してきた。
…今までの人生で、私に足りなかった努力…

自分が幸せになるための努力。
大事な人に愛されるための努力。

誰かのためなら頑張れるけど、
それだけでは、ダメなんだ。

みんな、ステキなカップルで
みんな、ステキな花嫁さんで
みんな、ステキな旦那様。

だけど
私は、どんなに憧れても
私以外の人間にはなれないし

どんなに皆さん、ステキな旦那様でも
私にとって、一番の男性は、黒尾さん。

だから、

自分の未来を、諦めない。
黒尾さんとの未来を、諦めない。

…今までは、諦める方が、ラクだった。
だから、
諦めてきたんだ、と今ならわかる。

今までは、信じない方が、ラクだった。
だから、
この言葉が信じられなかった、と

今ならわかる。