第7章 メモリアルフォトアルバム
正直言って、気まずかった。
別れ方が…あまりにも雑だったから。俺的に。
それなのに、うちのオーナーが
『花巻、ちょうどいいじゃん。
お前の練習台になってもらえよ、カットモデル。』
なんていうもんだから、
翌日、また会うことになってしまった。
閉店した夜のサロンで鏡越しに向き合う。
オーナーは、事務所。
店内には、俺とアキの二人だけ。
…カットより何より、
まずはちゃんと会話しなくちゃな。
そう覚悟を決めて、
俺はアキの髪をブラッシングしながら
話しかけた。
『久しぶりだよな。』
『うん、びっくりした!貴大、元気そうだね。』
『アキも、すっかり元気みたいだな。』
『元気だよ~。
カメラの修業、始めたばっかりだから
失敗も多いけど、毎日が新鮮で!』
『…お前、美大は?』
『うん、結局、辞めちゃった。』
…俺たちが別れたのは、
高校を卒業した次の夏。
アキが東京の美大へ行き、
俺は地元の美容専門学校に進んだ、
その年の夏だった。