第27章 ウェディングプランナー
ほどよく酔い、腹も満たされ、
ランコントルを出ると
すごく気持ちいい夜。
『クロ、もう一軒、どっか行こうよ。』
と誘ってみたけど、クロは
『いや、帰るわ。
お前ら、ケンカすんなよ?じゃあな。』
と、帰ってしまった。
『夏希、せっかく出てきたから、
ちょっとブラブラするか?』
『いいね、嬉しい!』
考えてみれば、
久しぶりに、外でゆっくり過ごす、
夏希と二人の時間。
『…クロ、結婚しないのかな?』
『モテすぎて選べないんじゃねーの?』
『でもクロって、
一人が似合うけど、案外寂しがりだよね。』
『…クロを寂しがりと思ったこと、
俺、1度もねぇけど?』
『えーっ、ホント?
クロはさ、構われるより、構いたい人じゃん。
主将にぴったりな性格。
誰かいないかなぁ、構わないけど構われたい人。』
『…難しいっ(笑)
てか、夏希こそクロのこと、構いすぎ!』
『だってもう、バレー部の仲間は
みんな結婚しちゃったんだよ?
クロのキャプテンシーを発揮できる場が
なくなっちゃうじゃん。
きっと物足りないはず。』
『クロだって立派に大人なんだから。
仕事関係とか、それこそ彼女とか、
俺らの知らない人間関係が
きっとたくさんあるんだって。
そこで絶対、頼られてるよ。』
『そうかなぁ?
クロ、一見クールだから。
みんな、ちゃんとクロのこと
わかってくれてるかな?』
『…なーんか、
夏希がクロの心配ばっかりするのが
オモシロクねぇなっ。
お前は俺の奥さんなんだからさ、
クロじゃなくて俺の心配しろよ!』
『あれ、ヤキモチ?かーわいいっ!』
『男にかわいいって言うな!』
『…じゃ、男らしいとこ見せてくれる?』
『?』
『行っちゃう?』
夏希が指差す先は…ラブホ街。
『最近、家ばっかりだったから。
たまには気分変えて。どう?』
『…行くっ!そろそろ子供も欲しいし。』
夏希の耳元で囁く。
『たっぷり、ナカに出してやる。』
夏希も、俺の耳元で囁き返す。
『ヤバイ。キュンとした…』
『…行こう。』
手を繋いで。
小走りで。
どんなにクロがいい男でも、
夏希は、俺の奥さんだから、
俺の名前しか、呼ばせない。
クロにはクロの、
たった一人がいるはずだから。