第27章 ウェディングプランナー
『…ということで、この中でどれがいいか
あとは夜久君、決めてね。』
『わっかんねーよ!一番うまいの、どれ?』
『全部、おいしい。』
『ますますわかんねーって!
うまいかうまくないか以外に
何を決め手にすりゃいーんだよ?』
猫又監督の記念パーティー用で渡す
オリジナルボトルの焼酎。
早瀬は、五種類の見積もりを持ってきた。
『もー、わかんね!
値段、真ん中のにしとくか?』
『夜久君、そんな選び方していいの?
夏希ちゃんのプレゼントも
そんなテキトーな選び方、してんの?』
『ちげーわ!』
『まだ時間あるからさ、
ほかの幹事さんとかと話し合ってみたら?』
『あぁ、そうか。そうしよう。
一人、焼酎好きがいたっけ。
ほら、例の婚活パーティーに呼んだ、クロ。
覚えてるだろ?』
『あぁ、黒尾さん。』
『俺も知らなかったけど
最近、焼酎飲むらしいんだ。相談してみるか。』
『それがいいね。じゃ、あとは任せた。』
…そんなわけで、俺は今、
クロと夏希と3人でランコントルで飯中。
…なんで焼酎選ぶのにワインバーかって?
俺も夏希も、ワインの方が好きだから。
…なんで夏希もいるのかって?
だって夏希は
音駒バレーのマネージャーだったから。
記念品とかって、
女子の方がセンスよかったりするだろ?
クロと俺じゃ決めきれないかも、と思って
声をかけたら、ついてきてくれた。
見積もりとパンフレットを見ながら
夏希が言う。
『早瀬ちゃん、さすがだね。
もりすけやクロだったら、絶対、
有名なヤツか
値段が予算に近いもの選んだでしょ?』
『だって、他に基準、ないだろ?』
『…夏希、なんでそう思う?』
『あのね、
男の人の記念品とかお土産とかって
その人本人より、
家族が喜ぶものにするといいんだよ。
家族のなかでその人の株もあがるし。
話題も広がるし、大事にしてもらえるもん。
ほら、有名どころは2つだけでさ、
あとは、ペアグラスがついてたり
グルメのカタログギフトがついてたり。
奥さんとかお孫さんとか喜ぶものに
なってるじゃん。』
『ふーん…でもなんで早瀬が
監督の家族構成知ってんだよ?』
『さぁね。想像したのかな?』
『…女の勘、とかな。』