• テキストサイズ

ウェディングプランナー(R18) Hi-Q

第27章 ウェディングプランナー



『でも、もういい。』

『…そうですか?』

『あぁ。自分から、あんだけ、
女、追っかけたことなかったから
引き際がわかんなかったのかもしんねぇ。
向こうから"終わり"って言ってくんなかったら、
多分、泥沼だったと思う。』

『別れようって言ってくれたのは
トーコさんの最後の優しさ、ですね。』

『どーだろな。
俺の口からそんなキレイゴト言ったら
気持ちワリイし(笑)』

下を向いて笑う黒尾さん。
でも、そう思ってるのが伝わってくる。

わかってるから、
嫌いになれないから、
苦しい。

『やっぱ俺は、』

さっきまでより、明るい声。
わざと、だろうか。

『女、追いかけるより
追いかけられる方が向いてんだな!
モテる星のもとに生まれてんだ。
来るもの拒まず、で生きていこう。』

『軽くムカつきますね(笑)』

でも、それが似合う人だ。
きっとこの失恋もちゃんと経験にして
次は確実に幸せになるんだろう。

『次に出逢う人と結婚するときは、
私に、プランナーさせて下さいよ!』

『…俺と寝たことある、とか
口、滑らせたりすんなよ?』

『究極の個人情報ですね(笑)
守秘義務、守りますから。』

『そんじゃ、頼むわ。
世界一、キレイにしてやって、
サプライズもがっちり仕込んで、
泣かせる系、な。』

『…早く、出逢えるといいですね。』

『どーこにいるんだろなぁ。
まだ産まれてねぇのかな?』

『…いくつで結婚する気ですか(笑)』

どこかに、いる。
黒尾さんに愛される、羨ましい人。

…自制心が効くうちでよかった。
一歩間違えたら、好きになってた。

もしかして、この夜が
私の人生で最後のセックスになるとしたら、
…黒尾さんで、よかった。

黒尾さんの失恋も
私の女としての悦びも、
何もかも、過去形になった夜。

『あと二時間、寝るか。』

『そうですね。』

『俺、シャワー浴びてくるから。』

バスルームに入る黒尾さんを見送り、
シャワーの音を聞いているうちに
眠気と体の疲れが戻ってきて…

気がついたら、眠ってた。

小さなアラームの音で目が覚めた時、
黒尾さんは、ベッドじゃなくソファに
横になってて。

オオカミみたいに見えるけど、
本当に、優しい人。

優しすぎて苦しくなるから、
もう会わないでおこう、と、思った。


/ 1378ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp