第27章 ウェディングプランナー
さっきまで、
あんなに心がささくれていたことも
どうでもいい気がした。
主将魂かぃ、と笑われそうだけど、
目の前のヤツが苦しそうだと
つい世話したくなってしまうのは
俺の性格、みたいで。
どんなに彼女がヤメロと言っても
俺は、俺のやりたいようにやる。
…彼女だって『ご自由に』と言ったんだし。
抱えてきた身体をそっとベッドに下ろす。
困った顔。こわばった身体。
ホント、素直になれねーのな。
もう、
言葉で自分を傷付けたりしないように
先に俺が、柔らかい言葉の鎖をかける。
『あんた、その場限りの優しさ、イヤなんだろ?』
コク、と頷く。
真一文字の口許。
キスしなくても、
ほどいてみせる。
『じゃ、また逢おう。
次も次も、その次も逢えばいい。
あんたが何を探してるか知らねぇけど
見つかるまで、俺、見ててやるから。』
ほら。
口が、開く。
そして、ビックリする言葉。
『…セフレになれ、ってこと?』
発想が斬新で、笑ってしまった。
『それでもいいけど(笑)
まぁ、まずは、飲み友達、くらいからどうだ?
気が合えば、たまには寝るのもアリにするか?』
自分のぶっ飛んだ発言を
少し後悔したように唇を噛み、
そして…初めて見た、素直な笑顔。
短い髪。
いつからショートなんだろう。
前髪をかきあげてやる。
ツルン、と丸いオデコ。
奥二重のまぶた。
手のひら。
ギュッと、子供のように握りしめてて。
ホントに頑固だ。
あくまでも、
手は繋がせないつもりらしい。
ま、いい。
一度に何もかもほどけるほど
簡単じゃないよな。
『心配すんな。約束通り、
手も繋がないしキスもしねーよ。
…そのかわり、声、聞かせろ。な?』
『…感じさせてくれたら。』
『上等(笑)』
愛、ではない。
まだ、
お互いのコトを知らなさすぎる。
それでも、
足りないものを
分かち合える気がした。
『目、つぶって。』
素直に、まぶたが閉じる。
キス、してぇけど。
やっぱり、やめとく。
次、があるから、
その時の楽しみに。
首筋からゆっくり舌を這わせて
もう一度、胸の頂を口に含んだ。
さっきとは違って、やさしく。
吸い上げたりしない。
舌で、転がす。
『…く…』
『声、我慢しない約束だろ?』
『…黒尾さん、』
『ん?』
『…気持ち、いい…』
…俺も。