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ウェディングプランナー(R18) Hi-Q

第27章 ウェディングプランナー



黒尾さんの好物をきいたら
サンマの塩焼きだというから
ちょっと驚いた。

…なんか、もっと
シャレたものが好きなイメージなのに。

で、

魚料理と焼酎が美味しい
小さな家庭料理の店に案内した。

カウンターに座る。

『俺、わかんねーから、任せる。』

『私、黒尾さんみたいに
相手が喜ぶようなものばっかり
頼むような優しさ、持ってませんよ?』

『何の話だ?』

『この間、ランコントルで。
好きなもの頼む、って言いながら、
私も食べやすい、
シェアしやすいものばっかり
頼んで下さったでしょ?』

『…そーか?』

『無意識でやってるんだったら、
相当な紳士か、女タラシですね。』

『そこはやっぱり、紳士、だろ。
にじみ出る育ちの良さ。』

この人、ホントに、掴めない。
掴めないんだけど、イヤじゃない。
不思議な人だ、と思いながら
料理と、まずはビールを頼んだ。

『別におめでたいことなんか
なんにもないですけど、』

『とりあえず、乾杯。』

ごつん、とジョッキをあわせて。

…何、話そう。
早く、料理、こないかな…

そう思ったとき、
黒尾さんの口から
予想外の言葉。

『ごめん、ウソついた。』

『え?』

『さっきの店で会ったの、
ホントは偶然じゃない。』

『どういうこと?』

『たまたま夜っ久んに記念品のことで
電話したら、あんたがあの店に向かった、
ってきいてさぁ。夜っ久んには内緒で、
仕事の出先から直行した』

『(笑)そんなに私に会いたかった?』

大人のコミュニケーション。
普通の受け答え。
"そうそう"と笑うか
"そんなわけねーだろ、バカ"と笑うか。

『謝りたかった。』

…もう。やめて。
予想しない方向から打ち返すの、
ほんと、やめて。

男性経験、少ないから。
そういう変化球な攻め方されると
どうしていいか、わからない。

『謝る?何を?』

『俺、あの時、自分から誘ったのに
キレイゴトでごまかした。ごめん。』

思い出す。
あの夜のこと。

『あんたを注文したい』と言われて
『ノコリモノでよければ』と返事したら

"ノコリモノなんて言うな"
"弱ってるときは一人になるな"って。

…あの時は確かに私も
キレイゴトで逃げたな、と 思ったけど。
でも、そこを攻めて許されるのは、
あの人くらいでしょ。

思い出しただけで、
笑いがでる。

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