第27章 ウェディングプランナー
ん、そうだ、早瀬がいたな。
披露宴での両親への記念品なんかで
ありとあらゆるオリジナルギフトを
見てきてるはずだ。
事情とニーズを説明したら
早瀬は、こんな提案をしてくれた。
『銀座にね、
スゴく素敵なオリジナルのボトルとかラベルで
いろんな焼酎をギフトにしてくれるお店があるよ。
種類も多いし。この予算なら…うん、
銘を入れてグラスまで揃えられると思う。』
お~✨
色気はないけど(言ったら殴られる。)
こういう時はホントに頼りになる!
『それ、いいじゃん!
…俺、焼酎、ゼンゼンわかんねーけど。』
『好みとか、ラベルにデザインしたい
文字とか写真とか教えてくれたら、
いくつかチョイスして見積りとろうか?』
『頼んでいい?超 助かるし!』
『じゃ、仕事終わったら行ってくる。』
『俺、一緒に行ったほうがいい?』
『任せてくれるんだったら
私、一人でゼンゼン構わないけど。
だって夜久君、焼酎、興味ないでしょ?』
『ない。行って役にたたない自信がある!』
『じゃ、却ってお荷物だ(笑)
ね、そのかわりさ、この伝票の入力、
かわってくれないかな?』
『そんなら得意!』
…そういうわけで、
一足先に会社を出た早瀬に代わって
残業していた俺のスマホに、着信。
クロからだ。
『夜っ久ん、この間のアレ、決めた?
猫又監督の記念品。』
クロも、幹事の一人。
『あー、それ。
オリジナルのボトルとラベルで
焼酎ギフトが出来るらしいんだ。
だから今んとこ、それを候補にしてる。』
『へ~、いいじゃん。どこで?』
『銀座。』
『俺、行こうか?』
『いや、たった今、早瀬に行ってもらった。
あいつ、九州出身でさ、焼酎飲みなんだよ。
クロ、ワイン派だろ?』
『あれ、知らねーの?俺、最近ワインより焼酎。
…なぁ夜っ久ん、その店、俺も
いつか行ってみたいんだけど。場所、わかる?』
『ええと…ちょっと待てよ…』
早瀬がくれたパンフレットの
住所と電話番号を告げると、
『サンキュ、またな!』
と、電話は切れた。
そっか。
おでん屋に一緒に行った時、
クロ、焼酎、飲んでたな。
あの頃、夏希とケンカして
クロに相談のってもらってたっけ。
…そんなことを考えながら、
俺は、伝票の入力を、再開した。