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ウェディングプランナー(R18) Hi-Q

第27章 ウェディングプランナー



黒尾さんは、聞き上手だ。

夜久君や夏希ちゃん、
今までここで披露宴をして下さった
音駒の皆さんのことなど
結構、共通の話題もあって、

そこそこ会話も盛り上がる。

『ところで黒尾さん、今日のパーティ、
何かいい出会い、ありました?
研磨さんと夜久君が
"そういえば、クロの女性の好みって
案外知らない"…って話してましたよ。』

『俺の好み?』

んー…としばらく考えた黒尾さんは

『ショートヘア、かな。』

『…ざっくりした説明ですね(笑)』

『そうか?あとは、まぁ、女であること。』

『ますますざっくり(笑)
ストライクゾーン、広すぎです。』

『俺、博愛主義者だから~。
…そういう早瀬さんは?
あ、もしかして既婚者?』

私の左手の薬指をちらりと見て。

『…ってわけでもなさそうだな。』

久しぶりだな、この手の話題。
この話になったら必ずこう答えてきた。

『もう、ヒトサマの幸せに手一杯で
自分の色恋、ずいぶん、ご無沙汰です。』

『自分のことは後回し?』

『後回しどころか、
一生、順番まわってこないような
気がしてますけどね(笑)』

『ふーん、じゃあさ、』

黒尾さんが、
試すような顔で私を見る。

長めの前髪からのぞく
一重の切れ長の目に真っ黒な瞳。
ニヤリと笑うと片方だけ上がる口元。
ほっそりとした首筋に
くっきりとした喉仏。

そのすべてを少し左に傾けて
頬杖をついて。

言葉をため、
試すようにじっと。
多分、ものの2~3秒。

だけど
こちらを戸惑わせるには十分な時間。

…自分がセクシーだってわかって
こんなことしてるんだろうか?

一瞬、身構える私。
それは、
今までの失敗で身に付けてきた、本能。

気を許したら、心を奪われる。

そう思った時に、言葉が届いた。

『何でも頼んでいいなら、
早瀬さんを注文しようかな。
…おいしいかどうか、試してみたい。』


ブクリ。


身体の奥に、
マグマが沸き上がった気がする。

からかわれてるのは、わかってる。
本気じゃないのも、わかってる。
社交辞令だって、わかってる。

だけど。

そういうの、
誰にでも
簡単に言っていいことじゃない。

私にとってそれは
今、一番の、問題だから。

生憎、私はそれほど
清らかでも無邪気でもなく。


『…黒尾さん、』


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