第27章 ウェディングプランナー
星…
全部、落っこちてしまったみたいに見える。
輝くのは夜空ではなく、
窓から見える、眼下の街。
真っ暗な空のただ一つの光、
猫の爪みてーな…いや、もっと細いな…
三日月に、雲がかかり始めた。
なんだろ。
イヤな予感しかしねぇや。
夜空がムダに広く見えるほど
高いところにあるココは、
…都心の、割と高級なホテルの一室。
シャワーの音が止まる。
分厚いバスローブをまとって
バスタオルで髪を拭きながら
彼女が出て来た。
『テツロウも、どうぞ。』
『…もう、ヤんねーの?』
『…髪、乾かしてくる。』
聞こえてきたドライヤーの音は
あっという間に止まる。
ショートヘアの彼女。
ふんわりとしたゆるいウェーブは
猫の冬毛のように柔らかで、
潔いのに色っぽくて…好きだ。
ふたたび姿を現した彼女は、
ミネラルウォーターを
きちんとグラスに注いで、飲む。
いつもは、ワインなのに。