第2章 スペシャルウェディング
~玄関のドアを開けると、
コーヒーのいい香りがする。
『お帰り~。後輩君の結婚式、どうだった?』
アキがスリッパをパタパタいわせながら
顔を出した。
俺は引き出物の袋を渡し、靴を脱ぐ。
『うん、西谷らしくてよかったよ。
久しぶりにみんなにも会えたし。』
『そっかー、よかったね!
ね、これ、中、見てもいい?』
『もちろん。
なんか甘いもん入ってたみたいだから
食べたらいいよ。』
アキは、キラキラした大きな紙袋から
1つづつ中身を取り出している。
『アハハ、何これ。特注したのかな?
"家庭円満Tシャツ"?おもしろ~い。
まぁ、なかなか着れないけど。
…でも、パジャマならいいかな?』
『アキもそう思う?』
おんなじこと、考えるんだな。
俺は嬉しかった。
『あ、引菓子はバームクーヘンだ。旭も食べる?』
『うーん、俺はコーヒーだけにしようかな。』
『気持ちよく酔っぱらってるなら、
アイリッシュコーヒーにしてあげようか?』
『これ以上酔っぱらったら、
俺、何するかわかんないけど…いい?』
西谷の幸せそうな顔を見たからか、
ついそんなことを口にしてしまう。
『俺、バームクーヘンよりアキを食べたい…』
アキは、口下手な俺に
そんなことを言わせてしまうような、
俺のぬくもりだ…~