第24章 ~恋ネコ④~ ゆったりプロポーズ
ガチャガチャ…
カタン、ゴトゴト、バタン、カチャ。
玄関から聞こえる音。
独り暮らしの私の家に
こうやって入ってこられるのは
彼しかいない。
『…はぁ、着いた。
あぁ、アキ、いたんだ、ただいま。』
『お帰り。伸行帰ってくるから
仕事早く終わらせて待ってたんだよー。
…なんか、つい何ヵ月か前も、
全く同じ事、言った気がするけど。』
『あれ、そうだっけ。
この間結婚したのは…リエーフ?山本か?』
トランクを寝室へ。
手荷物はリビングへ。
ジャケットを脱ぐのを手伝いながら
流れるように話は続く。
『今度は誰?』
『2つ下の後輩。
うちには珍しい優等生だったヤツ。』
『珍しい優等生?
伸行こそ優等生だったんじゃないの?』
『俺は優等生じゃないよ。
目立たない男だった。』
『目立たない男って(笑)
面白いチームだったんだろね。』
『そうだな。個性的っていうか。』
『ウフフ…』
そういう君こそ個性的なんだけど。
『ね、ご飯?お風呂?』
『うーん、まず、アキ。
次に風呂。
飯は一緒に呑みながら。
日本酒の新酒がでてたから買ってきた。』
『おふろより先に、私でいい?』
『それがいい。そうさせて。』
『じゃ、どうぞ。』
カウンターにもたれかかって
目をつぶると、
伸行の大きな手が
私の後頭部と背中にまわる。
そして、
キス。
あの、肉感的な唇が
私の薄い唇に触れる。
濃厚なキスから始まる二人の交わり。
…皆さんの想像する伸行は
真面目で堅物、じゃないですか?
この人、とっても落ち着いてて
その一方で個性的なマイペース。
ええ、真面目だとは思うけど、
堅物ではありません。
高校時代どうだったか知らないけど、
その真面目そうな見た目と
予想外の行動のギャップに
魅かれた私。
『…今、いらないこと、考えてるね。』
『あ、ばれた?ごめん。』
『久々なのに、心ここにあらずなんて。
許されると思う?』
『思わない。』
『だよね。許さない、けど
早くしないと飯が遅くなるから…』
あ。
このモードは…
『このままここで?』
『だね。さすが、アキだ。』
…こんなこともあろうかと
先にシャワーを浴びておいた私。
伸行との相性は、
ピッタリだと思う。
えぇ、
熟年夫婦みたい、でしょ(笑)