第23章 ～恋ネコ③～ あと出しプロポーズ

(エピローグ)

『…てなわけで、彼女の厳しい父親が、
芝山のあの誠実な瞳に
一撃で結婚許したらしいよ。』

『へぇ。芝山は、昔からそういうキャラだよな。』

『試合中でも猫又監督の横に陣取って
熱心に質問する姿、覚えてる。
リエーフに見習わせたかったもん(笑)』

『結婚式は彼女の地元でもやんの？』

『メインはこっちだって。
でも彼女の地元でも、
向こうの親戚とか友達とか呼んで
小さい披露宴はするらしい。』

『ちゃーんと貯金とかしてんだろな。
ほんと、不安要素が１つもないヤツだ。
主将イチオシ(笑)
…な〜んか後輩ばっか結婚してくけど、
アイツはどうなってんだ？
うちのもう一人のオススメ物件。
アイツこそ、結婚一番乗りだと思ってたのに。』

『あぁ、あそこはもはや
遠距離恋愛というより単身赴任(笑)
二人とも、熟年夫婦みたいな落ち着きだもんな。』

『長すぎた春になんなきゃいいけど。
夜っ久んと、どっちが先？』

『うちが先だろ！
俺はもう、プロポーズしたから！』

『よかったなぁ。
イブにケンカしたなんてきいた時にゃ、
もう、慰めようがねぇと思ったけど。
いやぁ、よく繋いだよ。
さすが、レシーブの達人。
生き残りの最後の砦！
やっぱ、夜っ久んいねーと音駒は始まんねーわ！』

『…クロ、それ、誉めてる？』

『ほめてる、ほめてる。雑だけど誉めてる。』

『クロも、芝山の誠実さ、ちょっとは学んだら？』

『俺に誠実さ求めてる人なんていねーから(笑)
喰えねぇ主将キャラで充分デス。』

『…クロ、最近、イジけてない？』

『うっせーな、顔も性格も、
生まれたときからイジけてマス。』

『…なんかあった？相談、のろうか？』

『…おやおや？おやおやおや？
夜っ久ん、今日は余裕ですか？
でも、結構でーす。俺は俺で
当分、独身生活、楽しみま～す。』

『…クロは、結婚しないタイプかもな。』

『えっ？！不幸な予言すんの、やめろや！
俺の結婚式も、夜っ久んに頼むから！』

『そん時、俺がまだこの仕事してたらな。』

『あと何年、働く予定だ？』

『定年までなら、30年ちょっとくらい？』

『…相当ゆっくりでよさそうだな(笑)』

(～恋ネコ③～ あと出しプロポーズ 完)