第23章 ~恋ネコ③~ あと出しプロポーズ
あやうく夫婦喧嘩が勃発するかと
思いましたが、
そこで口を開いたのは、
昨年結婚したばかりのお姉さん。
『優生とアキちゃんはどうなのよ?』
『僕は…結納にあわせて準備するから
ちょっと待っててね、っ感じ?
…アキちゃん、遅くなっちゃうけど
それじゃだめかな?』
『ダメじゃないけど…
私、もしおとうさんとおかあさんが
許してくださるなら、新しいものより
この指輪、頂きたいです。』
仲の良いご夫婦の
家族の歴史の始まりの指輪。
それを引き継がせて頂けるなら、
家族として認めていただく
最高の証だと思うから。
『だよね、あたしもそれ、賛成。
それに、イギリス王女も、ほら、
ダイアナ妃の婚約指輪をひきついだ、
って言うじゃない?』
『お前、お母さんとダイアナ妃を
一緒にするな、ダイアナ妃に失礼だ。』
『あら、失礼なのはあなただわ!』
まぁまぁ二人とも…(笑)という感じの
いつもの賑やか家族漫才的な展開で…
『わかったよ。じゃあアキちゃん、
今、みんなの前で、
この指輪で僕にプロポーズさせて。
そんで、結納の時にこの指輪を
日頃使えるデザインにリフォームして
ちゃんと贈るよ。それでどうかな?』
ゆーき君の言葉に、みんな、
納得顔で頷きます。
『ゆーき、じゃ、どうぞ。
ウフフ、ひとのプロポーズ見るなんて
なんかドキドキするわぁ。』
…と、楽しそうなお姉さん。
『ちょっと、カメラ、カメラ。』
『いや、ビデオだ、ビデオ。』
…と騒ぐご両親。
『なんか、おおごとになっとる…』
…と、申し訳なさそうな父。
そんなお互いの家族を見ながら
なんとなく笑ってしまう私とゆーき君。
『はい、それではお二人、どうぞ!』
と、皆が注目するなかで、
ゆーき君は、照れることなく
堂々と言ってくれました。
『なんかさ、
結婚式の日取りまで決めておきながら
今さらプロポーズってのも
あとだしジャンケンみたいで悪いけど…
プロポーズさせて。
おとうさんとおかあさんの
大事なアキちゃんを
今度は僕と僕の家族も一緒に
大事にしていくから。
そして僕も、アキちゃんの家の
息子にしてほしいから…
アキちゃん、僕と結婚して下さい。』
そこにいた皆がほんわり幸せになる、
ゆーき君らしいプロポーズでした。