第23章 ~恋ネコ③~ あと出しプロポーズ
よく事情はわからないながらも
とりあえずホッとひと安心した私のところに
ゆーき君から電話があったのは、
それから一時間後のことでした。
私が『父は魚が好き』と話したのを
覚えていたので、父を魚料理の店に誘い、
食事をしたこと。
最初はぎこちなかった会話も
ゆーき君が、
魚をキレイに食べたこと、
箸使いがキレイなことに
父が感心したのをきっかけに
話が弾み始めたこと。
(こういう躾に厳しい父です…)
私と長く付き合っていることを話し、
同棲させてほしい、と頼んでみたら
『それならいっそ、結婚を考えたら』
と、父から言ってくれたこと。
食事のあと、
父の会社がよく東京で使う
カラオケスナックに行くことになり、
そこで、ママさんに
『もうすぐ、うちの息子になる優生君』
と紹介してくれたこと。
一緒にカラオケをデュエットしたこと。
優生君のご両親に挨拶したいと
父から言い出したこと。
『アキは
引っ込み思案で我慢しすぎるから、
都会でやっていけるか心配だ』と
言っていたこと。
…それを含めて、
優生君、アキを頼む、と
言ってくれたこと。
聞いてる間、
私は涙が流れて止まりませんでした。
ゆーき君が、
父の心をほどくためにしてくれた
心遣い。
父が
ゆーき君のことを見込んで
私を託してくれた思い。
二人の男性の大きな愛が
本当に嬉しくて嬉しくて、
泣けて泣けてしかたなかったです。
『アキちゃん、泣かないでよ。
僕、アキちゃんを泣かせません、って
おとうさんと約束したんだからさっ。』
…もうっ。
ゆーき君のバカ!
そんなこと言われたら、
ますます、泣けちゃうじゃん!