第23章 ~恋ネコ③~ あと出しプロポーズ
ゆーき君は、
私のヒーローです。
私が困って泣きそうな時、
いつも一番近くに現れて
なんとかしてくれるんです。
出会いは
大学生活の初日のことでした。
田舎から東京の大学に進学した私。
初めての人混み、
初めての大学生活、
初めての独り暮らし、
初めての電車や地下鉄…
期待と不安が入り交じり、
しかも、
雑誌でしか見たことないような
おしゃれ女子大生の群れに圧倒されて
正門の入り口で
途方にくれて立ち尽くしていた私に
声をかけてくれたんです。
『新入生、ですよね?
何か、困ってるんですか?』
嬉しかった。
誰の目にも私は見えてないのかな…
そう思ってしまうくらい、
たくさんの人が
私を追い越して行った後だったから。
『あの…私は
どこへ行ったらいいんでしょうか?』
そんな、とてつもなく田舎者の質問を
笑うことなく。
『学科とかクラス、
何かわかるもの、あります?』
と、
私が差し出した書類を丁寧に見て
『あ!学科もクラスも僕と同じです!
もう大丈夫、一緒に行きましょう。』
と、並んで歩いてくれました。
芝山優生という名前。
ここが地元だということ。
高校の頃はバレー部だったこと。
リベロ、という、ちょっと特殊な
ポジションだったこと…など
初対面の私に話してくれました。
そして、
教室まで案内してくれただけでなく、
『またどこかで迷子になったら、
電話してきて下さいね。』
と、携帯の番号まで教えてくれて。
…都会の大学生は
もっとチャラチャラしてるのかと
想像していた私にとって、
ゆーき君は、
さわやかなヒーロー。
それが私の第一印象でした。