第9章 月の魔力*ゼノ*
「お前は星みたいだな。…お前の表情みたいに星一つでも色々な顔がある。」
「えっ!私が星ですか!?うーん…じゃあ私はウィスタリアの希望の星でありたいです。」
真っ直ぐにゼノ様の瞳を見つめた。
見透かされても問題ないほどに、私の気持ちに嘘はなかった。
「…月と星のように、ずっと俺の側にいてくれないか?」
「…はい。もちろんです。隣にいさせてください。」
すると顎を少し持ち上げられ、彼の顔がゆっくりと近付いてくるのが目に入った。
私は身を任せるように、目を閉じ彼の唇を受け入れた。
夜風は爽やかで少し肌寒いほどなのに、唇から伝わる熱は身体の中からじわじわと広がっていく。
次第に深くなる彼の口づけ。
入り込んできた舌に応えるように、私も舌を触れさせる。
だんだんと息が苦しくなってきて、目に涙が浮かぶ。
すると、目元に柔らかくて優しい温もりを感じた。
「自制出来なくなった。…今夜はお前にもっと触れたい。」
「…私もゼノ様にもっと近付きたいです。」
月の魔力は彼と私の距離をぐっと縮めた。
ベッドに運ばれて、彼を見つめると耳元で囁かれた。
「…、愛してる。」