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イケメン王宮*Short Stories

第36章 ブルー・ローズ*ゼノ*


噴水広場のベンチに腰掛けて、街行く人たちをぼんやり眺めていると、ゼノ様がゆっくりとこちらに向かってきた。

女性たちの視線を集めているその姿を客観的に眺めていると、やはり人の目を引く魅力的な方なんだ、と改めて感じた。

「すまない、待たせてしまったな。」

「いえ、大丈夫です。」

「…これを受け取って欲しい。」

ゼノ様は背中の後ろに隠していたものを、私に手渡した。

それは、先ほど二人で見ていた11本の青い薔薇だった。

陽の光の下でも青が映えて、美しく際立っていた。

嬉しい気持ちと同時に、少し戸惑ってしまい、ゼノ様に問いかけた。

「あんな貴重な薔薇を私が頂いてしまってもいいんですか?」

するとゼノ様は薔薇の花束を持つ私の手にそっと触れた。

「もちろんだ。俺はお前と出会い、生涯を共に出来ることを奇跡だと思っている。今日の記念に貰ってくれないか?」

「有り難うございます…。私…幸せです。」

薔薇を頂けたこと以上に、ゼノ様の言葉に嬉しさが込み上げて、自然と笑みが溢れた。

綺麗な薔薇に見とれていると、視界に影が落ちて、見上げた瞬間口づけが落ちてきた。

突然のキスに目を見開いていると、ゼノ様は悪戯に微笑んだ。

「…自分たちの国ではこんなことは出来ないだろうな。」

「ゼノっ…!」

頬に熱を感じる私をよそに、ゼノ様は涼し気な顔をして私の手をとった。

「そろそろ戻るか。」

両目から伝わる優しい眼差しも、手から伝わる穏やかな温もりも、今思えば奇跡だと私も思う。

この奇跡を永遠に。


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「様、青の薔薇なんて珍しいね。ゼノ様からもらったの?」

ウィスタリアに持ち帰った薔薇を見て、ユーリが驚いて目を丸くした。

「うん!綺麗だよね…。「奇跡」っていう花言葉なんだって。」

「咲くことが奇跡だもんね。だからその数しかなかったのかな?」

「ううん。お店にはもう少しあったよ。」

「へぇ…。そういえば花の本数にも意味があるんだって。もしかしたら何かあるんじゃない?」

確かにきりが良くない本数は少し気になっていた。

ユーリの言葉をもとに、私は書庫で花の本を見つけて調べてみた。

「あ…。」

11本が意味するものがわかった時、また私の頬が赤く染まった。

11という本数が意味していたこと。

「最愛」
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