第30章 甘い誘惑にご用心【甘裏】*ルイ*
部屋に戻ってきたルイもベッドへと入り、いつものように私をそっと抱き寄せた。
「っあ……。」
反射的に身体をビクリと震わせて、小さく声も漏らしてしまった。
これ以上触れてしまうと、もう昂る気持ちを抑えられなくなる。
こんな私、ルイに知られたくない。
何とか腕の中から抜けだそうとしても、普段と同じように私はルイの胸に顔を埋める形になって動けない。
ドキドキとうるさい胸の音に、荒くなる呼吸。
「?大丈夫?」
不安そうに私の顔を覗き込むルイに助けを求めるように名前を呼んだ。
「…っ……ル、イ…。」
視線が重なった瞬間ルイは目を見開いて、私の目尻に浮かんだ涙を指でそっと拭ってくれた。
「…今日何か変わったことなかった?」
「え…?」
「が今日俺から離れたがるし、ここに来る前にシドが何か企んでる様子で話しかけてきたから。」
ルイの青い瞳は不安で揺らいでいて、私自身これ以上嘘をつくのは不可能だった。
「…シドからもらったチョコを食べて、そしたら身体がすごく熱くなって…。それで…。」
言葉の続きを口にするのが恥ずかしくて口を閉ざしていると、ルイは「それで?」と続きを求めるように私の言葉を繰り返した。
「…ルイを見ただけで身体はもっと火照るし、触れられたら、その…もっと触って欲しいって思っちゃって…。」
恥ずかしくて両手で顔を覆っていると、ルイは私の両手を顔から剥がした。
「そんなに恥ずかしがらないで。…俺はどんなでも好きだし、そう思ってもらえるのは嬉しいから。」
「…本当に?」
恐る恐るルイに視線を向けると、ルイはふっと優しく微笑んでくれた。
「うん。…多分シドのチョコには媚薬が入っていたんじゃないかな。だからそういう気持ちがいつもより強くなったんだと思う。」
「…そうなんだ。寝れば治るかな…。」
とは言っても、興奮しているせいか眠気は全くなく、身体がずっと熱いまま。
「効果がどれくらい続くかはわからないけど、疼きを静めることは出来るよ。」
「え?どうしたらいいの?」
「…俺に任せて。」