第30章 甘い誘惑にご用心【甘裏】*ルイ*
「はい、今日はここまでにしようか。お疲れ様でした。」
「ありがとう、レオ。それじゃあまたね。」
ぺこりと一礼して部屋の扉のノブに手をかけると、レオが何かを思い出したように私を呼び止めた。
「あ、ちゃん。」
「何?」
「今日は随分ご機嫌だね。…ルイが来るからでしょ。」
それはまさに図星で。
明日の私のお休みに合わせて、公務を終わらせて夜に来てくれることになっていた。
自分の心の中が透けてしまっていたみたいで気恥ずかしくて、顔がぼっと熱くなってしまった。
「プリンセスもやっぱり女の子だね。楽しんで。」
レオがクスクス笑って手を振って見送ってくれて、私は執務室を出た。
自分の部屋に戻ってバルコニーに出ると、庭園の色鮮やかさが目に飛び込んできた。
「まだ次の公務まで時間あるよね…。」
気晴らしに庭園に出てお散歩することにした。
ぽかぽか陽気と爽やかな風が心地よくて、思わず大きく伸びをした。
色とりどりの花たちが私の気持ちをより浮つかせた。
「よう、プリンセス。浮かれてんじゃねぇか。」