第25章 最愛*ルイ*
突然プリンセスになったあの日からもう5年が過ぎていた。
彼と恋に落ち、今はウィスタリアを二人で支えている。
慌ただしい日々が続いていたので、今日は久しぶりに揃って休暇をもらっていた。
少し遠出をして、お弁当を持ってのピクニック。
ポカポカ陽気の中、爽やかな風が時折髪を揺らしている。
私が見つめる視線の先には、愛しい旦那様と、その彼と同じくらい大切な女の子。
「ママー!パパがこれつくってくれたの!」
小さなお姫様が嬉しそうに見せてくれたのは、色とりどりの花冠。
「素敵!セシル被ってみて?…うん、よく似合ってる!」
「セシル」と呼ばれるその子は光に透ける金色の髪に澄んだ青い瞳で、本当に彼にそっくり。
「パパ!ルゥかわいい?」
セシルは後ろから歩いてきた彼に駆け寄って嬉しそうに被ってみせた。
「うん。…可愛いよ。」
彼はそっとセシルを抱き上げると、彼女の柔らかな頬に優しくキスをした。
「ルゥね、パパだいすき!パパがいちばんすき!」
彼の頬にすりよるセシルの笑顔は朗らかで、見ている私の心まで暖かくする。
「あれ?ママは?」
ちょっと寂しくなって尋ねてみたら、彼の腕から下りたセシルはにっこり笑ってこう答えた。
「ママもいちばんすき!」
「ありがとう。私もセシルが大好きだよ。」
私はピクニックシートに腰掛けて、少し乱れたセシルの髪を指ですいた。
「でもね、ルゥはパパとけっこんするの!」
小さなお姫様の突然のプロポーズに、驚きつつも可愛いなぁと思わず笑顔が溢れてしまう。
…ルイどうやって返すんだろう。