第24章 つかめる赤糸は一本だけ/アラン*ルイ
「…。言ったでしょ?その手で誘われたら、ダンスは断れないって。」
ルイが優しく微笑んでくれて、私の手をとり腰を抱き寄せた。
「…プリンセス自らハワード公にお声をかけたぞ。」
「ルイ様が次期国王候補ということ…?」
会場のざわめきが耳に入ってきたけれど、だんだんその声は遠くなる。
まるで、私とルイの二人だけになったような錯覚に陥った。
教えられたように、しっかり顔を上げてルイを見つめると、愛しさを感じられる瞳で見つめ返してくれた。
ダンスを終えて、私たちはバルコニーへと出ようとすると、外への入り口の前にアランが腕を組んで立っていた。
「アラン…あの……。」
私が口を開こうとすると、アランはルイの方へと足を向けて、ルイに言葉をかけて、私の頭をくしゃり、と撫でた。
そのまま歩みを止めず、またダンスホールの方へと進んでいった。
ちゃんと聞こえたよ。
「のこと、頼む。」
満天の星空の下で、ルイは後ろから腕を伸ばして私を抱き締めた。
「…。俺を選んでくれてありがとう。…すごく嬉しい。」
ルイは私の肩に顔を寄せ、ますます距離を近付けた。
私は身をよじり、体の向きを変えてルイに向かい合った。
「…私もルイが好き。…返事遅くなってしまってごめんなさい。私がずっと隣にいてほしいって思ったのは…ルイだった。」
自分の気持ちを正直に、精一杯想いを込めて伝えた。
少しの沈黙の間に吹いた風が、白い花のピアスを揺らす。
「、愛してる。…もう、離さないから。」
掴める赤糸は一本だけ。
私は最愛の彼と、ずっと一緒に生きていく。