第24章 つかめる赤糸は一本だけ/アラン*ルイ
「プリンセス、貴女の一番の役目をお忘れではないですか?」
ジルは中々次期国王を選出できない私に痺れを切らして、度々眉を寄せては私を急かしていた。
それに加えて、国王陛下のお体の具合もあまり芳しくない状況。
プリンセスとしての使命は勿論重々理解している。
私自身が今の関係を崩してしまうのが恐いだけ。
そんな私の胸中を見透かしているのか、ジルは私に一つの提案をした。
「舞踏会を開催します。そこで貴女のパートナー、つまりは次期国王となる人物を選出してください。公式の場ではありませんが、周知は出来ると思います。」
「え…?」
「心当たりが全くないというわけではないのでしょう?何かしらきっかけがなければ、貴女は踏み出せないみたいですしね。」
確かに、そうだ。
私自身が自分の気持ちをはっきりさせなければ、このままずっと変わらない。
二人からの告白も、私の曖昧な心のせいで答えることが出来なかった。
ずっと側にいて守ってくれる。
優しい眼差しで見つめてくれる。
何気ない会話も楽しくて。
…私はどちらの隣にいたいの?