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イケメン王宮*Short Stories

第22章 二人だけの秘密【甘裏】*ユーリ*


宣言式を終えて、公式に私のパートナーと認められたユーリ。

だけど元々はウィスタリアでは執事、シュタインでは騎士。

次期国王として日々勉強の毎日で、二人で会うことも制限されていた。

今日はウィスタリアの貴族の方々とユーリの親睦を深めるために開かれた食事会。

私の隣にいるユーリは「王子様」。

周囲の目があるので、振る舞いには一層気を配らなければいけない。

隣に座っているのに、何だか距離が遠い。

執事だった頃は少し離れたところに立っていたけど、今よりも近く感じた。

「…様、どうしたの?気分でも悪くなった?」

知らない間に表情に陰が落ちていたようで、ユーリが私の顔を覗き込んで尋ねてきた。

「…ううん、何でもないの。大丈夫。」

いけない、いけない。

ユーリの方が慣れない毎日で大変なんだから、心配かけちゃだめだ。

すると、そっと膝の上に置かれていた私の手をユーリがとり、指を絡めた。

もちろん、見えないようにテーブルで隠れているところで。

突然の行動に驚いてしまい、ユーリの方に視線を戻すと、ユーリはにっこりと笑顔を見せてくれた。

指から伝わる温もりで、ユーリとの距離がさっきよりも近くなった気がした。

食事会が終わり、二人で来賓の方々をお見送りして、ふっと一息ついた。

…また中々ユーリに会えなくなっちゃうのかな。

「ねぇ、様。」

ユーリに呼び掛けられて、はっと我に返った。

見上げると、ユーリは柔らかな笑顔を浮かべて、私の耳元に顔を寄せた。

「今夜、あの部屋に行こう。」

吐息を感じる距離で、私にしか聞こえないように、二人だけの秘密を作った。

あの部屋、というのは私がお城を探索している時に見つけた今は使われていない小部屋。

ユーリにだけは教えたくて、前にこっそり連れていった。

あの日以来その部屋に行く時間がなくて、今日行くのは久しぶり。

「今日の夜、寝る準備をしてから来てね。」

そう言ってユーリはまた勉強へ、私は公務へと別れた。

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