第19章 魔法にかけられて*ユーリ*
翌日、舞踏会の準備のためのドレスを選んでいた。
「どんなのがいいかな…。」
すると、ユーリがたくさん並んだドレスからぱっと一着を手に取り、私にあてた。
「これはどうかな?様にすごく似合うと思うよ。」
選んでくれたラベンダー色のシフォンドレスは確かにすごく素敵なデザインで、私の心をぐっと掴んだ。
「うん…素敵。これにする。」
「毎日様のドレスとかワンピース見てるから、好みも大体分かってきちゃった。それじゃあ着替え終わったら呼んでね。」
ドレスに身を包むとやっぱりとても素敵で、何だかウキウキしてきた。
着替えも終わりユーリを呼ぶと、ユーリは私を見て明るい笑顔になった。
「やっぱり似合ってるよ!すごく可愛い。」
ユーリの「可愛い」は私に少し自信を持たせる魔法の言葉だと思う。
ドレッサーの前に案内されて、ユーリは私の髪に触れる。
「なんでユーリは髪の毛のセットも出来るの?」
「んー…メイドさんに教えてもらったり、かな。だってこれで様がもっと可愛くなったら嬉しいでしょ?」
ユーリは器用な手つきで私の髪を結い上げる。
髪飾りを付けると、すっかり華やかなアップスタイルになっていた。
「うわぁ…ユーリ何でも出来てすごいなぁ。ありがとう!」
鏡越しにユーリに笑顔を向けると、ユーリは少し目線を落として何か考えている。
すると後ろからユーリがぎゅっと私を抱き締めた。
「…ユーリ?」
「…本当は可愛い姿で皆の前に行かないでほしいんだけどね。」
たまにこうして独占欲を見せてくれることが、とても可愛くて愛しい。
「…帰ってきたらまたぎゅってしてくれる?」
「もちろん。あ、でも…。」
言葉を告げる代わりに、ユーリは私に優しくキスをした。
そして唇を首筋に移し、チョーカーの下に強く吸い付いた。
「ユ……ユーリ!?」
「これ以上のこともしてあげる。」
突然のキスと、ユーリの何か企んだ微笑みに鼓動が加速する。
ユーリは私に言葉で、行動で、表情で魔法をかける。
そんな彼にすっかり虜で、夢中。