第18章 11月11日【甘裏】*ジル*
ジルはベッドの中で私を抱き締め、頭を撫でてくれた。
ただ腕に込められた力がいつもより強い気がして、勘違いかもしれないけど尋ねてみた。
「…ジル。何かありました?」
「…昨日ネーブルズで食事会がありましたよね?そこで貴女へのお褒めの言葉を多く頂いたのです。」
「本当ですか!?…良かった。」
安堵する私をよそに、ジルは眉間に皺を寄せ顔をしかめている。
「確かに喜ばしいことのはずなのに、少し貴女を遠く感じたのです。…貴女を立派なプリンセスにするための教育係なのに、おかしな話だとは自分でも分かっています。」
いつも冷静で穏やかで、何でも知っている大人のジル。
私のことで悩んでくれたことが不謹慎ながら少し嬉しかった。
私はジルの手を握り、真っ直ぐジルの目を見つめた。
「私はずっとジルの側にいます。ジルのものですから……。」
「…ありがとうございます。私もずっと貴女のものですよ。…その言葉が最高のプレゼントです。」