第17章 秘密のバスタイム【甘裏】*ゼノ*
「、大丈夫か?」
「はい…。」
浴室での情事の後、意識はすぐに取り戻したものの動けなくなってしまった私を着替えさせ、ゼノ様は部屋へと運んでくれた。
今は枕元で横になる私の手を取り、片手で頭を撫でてくださるゼノ様の優しさに心が暖かくなった。
あれだけ寂しいと思っていたのに、今はすぐ側にいて下さって、心の距離も近くに感じる。
私は重ねられたゼノ様の手の甲にキスを落とした。
すると、ゼノ様は私の額にそっと唇を寄せた。
「…。」
唇を離すと、ゼノ様は私の顔を覗き込んでじっと見つめた。
「何ですか?」
「世継ぎが出来るといいな。」
まるで悪戯っ子のように微笑むゼノ様に、先程の浴室での出来事を思い出させられた。
「…もぅっ……!…でも、欲しいです…ゼノ様との子……。」
いつか子どもが出来たなら。
今みたく離れ離れにならずに、大好きな人と大切な子供と一緒にいられるのかな。
そんなことを考えながらゼノ様の方を向くと、ゼノ様も穏やかな笑みを浮かべていた。
「お前との子なら…可愛いのだろうな。」
少し嬉しそうなゼノ様との幸せな時間はまだ始まったばかり。