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イケメン王宮*Short Stories

第17章 秘密のバスタイム【甘裏】*ゼノ*


お互いそれぞれの国を治める王とプリンセス。

中々会えないのは寂しいけれど、会うたびに胸元や首筋に残してくださる仄かな赤色がゼノ様を感じさせてくれる気がした。

それも消えてしまってから数週間が経った後、やり取りをしていた手紙に嬉しいお誘いの言葉が綴られていた。

「休暇を合わせた。久しぶりにお前に会いたい。」

シンプルだけれど、とてもゼノ様の想いが伝わる手紙に心が暖かくなった。

約束の日、午前中に公務を済ませ、シュタイン城を訪れるとゼノ様ではなくアルバートに迎えられた。

「あれ?アルしかいないの?ゼノ様は?」

挨拶もそこそこに、同行してくれているユーリが私が尋ねたかったことをあっさり聞いてくれた。

「…お前は黙っていろ。…プリンセス、大変申し上げにくいのですが、ゼノ様は急な公務が入り執務室に籠っていらっしゃいます。終わり次第お伺いするそうですので、城内でご自由にお過ごしください。」

やっと会えると思ったのに…、と項垂れていると、ユーリが元気付けてくれた。

「様、元気出して。もうシュタインには来たんだから、もうすぐだよ。」

「ユーリ…。うん、…ありがとう。」

美味しい紅茶とお菓子でおもてなしされて、ユーリとアルバートの言い合いを見て「仲が良いんだか、悪いんだか」なんて思ったり。

それから季節が移り変わり手入れされている花も少し変わった空中庭園を、ユーリと二人で並んで話ながら散歩していた。

昼間は心地よかった秋風も、夕暮れ時が近付くと少し冷たく肌寒く感じられた。

「…くしゅっ……!」

「ちょっと寒くなってきたね…。そうだ!お風呂の用意してもらうようにお願いしてくるよ。」

少しだけ寒気を感じたので、お言葉に甘えさせてもらうことにした。
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