第16章 貴方に誓う*レオ*
「お願いはそれだけ?」
レオは重ねていた手を放し、私の髪に触れた。
髪が指を通る感覚が何だかくすぐったい。
「ううん。…もう一つ聞いてくれる?」
「もちろん。」
レオが穏やかな微笑みを私に向けてくれるので、私もこの想いが伝わるように真っ直ぐ彼を見つめた。
「…ずっと一緒にいて。」
この言葉を口にした瞬間、レオは少しだけ申し訳なさそうな表情を見せた。
彼の望みを受け入れたことで、「ずっと側にいられる」という根拠のない自信が覆され、離れ離れの日々を過ごすことになってしまった。
「必ず帰ってくるから」というレオとの約束だけを信じて待つ日々は先が見えず、一人の夜に堪えられずに涙したこともあった。
離れて改めてわかるレオへの想い。
だからこそ彼があの日私を迎えに来てくれた時、今まで生きてきた中で、と言ってもいいほど幸せだった。
「…ずっと側にいるよ。もう離れないし、離さない。…誓うよ。」
レオは私を抱き寄せて、私の目に少しだけ滲んでいた涙をそっと指で拭ってくれた。
身体から感じる体温が、レオがここにいることを自覚させてくれる。
「レオ、私も誓う。どんな時でもずっと一緒だよ。」
愛してる、という言葉が暗闇の部屋に響き、唇を重ねた。
二人だけしか知らない秘密の約束。
お互いの胸に秘め、永遠を誓う。