第22章 『再・理解』
「ビーネ。アームストロング少将には会ったか?」
「うん。少し。エド達の味方だと少し臭わせて見たけど、僕は表向きには完全に大総統側の人間だからね。まったくの初対面で信用しろって方がムリだと…。」
「少将……あっち側に付いたかもしれない。」
「そう……僕も彼女の事なら紙面で知っているよ。なんだろうな、実際会って見ると、まるでここにそびえる大きな雪山のような人だった。」
「…雪山よりはライオンって感じだけどな。」
ははは!と少しだけ張りつめていた空気が和らいだ。
「僕は、見た通りの彼女を信じるよ。」
「俺は……。」
「二人はそのままでいい。僕は今まで培って来た経験がそう言っているだけだから。間違いもあるかもしれないからね。うん。」
ようやく道を見つけたと言わんばかりに力強く頷いた。
そして、少しくたびれた様子の軍服の内ポケットから、錬成陣の書いてある紙を数枚取り出して、俺とアルに何枚か渡してくれた。
「君たちにこれは使えないけど、もし、僕が、君たちの所に一文無しで転がり込む事があった時のために。」
「え、でも。ビーネだって……」
「アル。中央でスカーと戦った時に僕はそれを使って武器を作った。忘れちゃった?」
アルフォンスは少し考え込んであの時の状況を思い出していた。
しばらく沈黙して、あぁ!と声を上げた。
「うんうん!思い出したよ!」
「手袋はしていても、紙一枚分でも凍傷を防ぎたいからね。エドも、できれば持っていて欲しい。」
「あぁ。わかった。」
ビーネは襟を正し裾を払い、よし。と気合を入れた。