第17章 『再構築』 4
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「エドワード。本当にやるのか?」
「あぁ、やる。」
正直乗り気はしない。
あまりにも幼稚すぎる気がしなくもないが、頭に血が上っている人間をおびき出すのなら、ちょうどいいのか?
「もっ、もちろんビーネも…?」
「いやぁ、悪いなアルフォンスー。僕は軍の人間だしー、仕事に行かなきゃー。」
そう言いながら、そそくさと軍服に手を伸ばし着替えようとした。
しかし、その手をエドワードの機械鎧の右手が確保する。
さすがは機械鎧、強い。
「お前の仕事は、俺の護衛じゃなかったのかよ。」
「へぇ、エドワード君はスカーに襲われるのが心配?僕に何を守ってほしいのかな?君の淡い恋心?それとも貞操?」
「ばばばばばっかやろう!なんてこと言ってんだ!ちげーだろ!俺のっ、俺、の……」
「君のカラダ、かな?」
「うるせーーーーーーっ!!」
ムキーーー!と顔を真っ赤にして起こるエドワードをよそに、さっさと着替える。
「じゃー、アル。あんまり無理しすぎないように。」
「あ、うん。ビーネは本当に仕事いくの?」
「うん。まだ、家にも帰ってないし。」
襲われたらすぐ駆けつけるよー。と手を振って宿を出ると、ちょうどいタイミングで軍の車が目の前に泊まる。
運転手を見れば、不機嫌そうな顔をしたヴィンズだった。
「ヴィンズ。運転替ろうか?」
「いい。たまたま通勤途中だったからな。」
「では、ありがたく。」
僕がどこで何をしているかなんて、彼らには筒抜けのよう。
逆に僕は彼らがどこで何しているか知ろうとは思わない、彼らはきっと彼らなりに頑張っているから。
ヴィンズが車を向けた先は僕の家。
到着すると「10分だ。」とだけ言って、僕を早々と車から追い出した。