第10章 再会が必ずしも良い事とは限らない
「総悟!どうしたんだその傷ッ!結衣、一体何があった!?」
屯所に着くと背負われた沖田隊長を見た近藤さんは慌てて彼の元へ駆け寄った
「彼をすぐに医務室へ運んで下さい…少々手荒な真似をしてしまいましたが、今は気絶しているだけです」
「ア…アンタは…」
「私の側近であり、古くから大石家に仕える護衛部隊、第1部隊隊長…
琉生。」
そう言って近藤さんの後ろから出てきた人物を見つめ私は目を見開いた
「久しぶりだな、結衣」
『ッ…』
「副長、沖田さん無事医務室に運びました、ただ…意識はまだ…」
「そうか、わかった…」
山崎さんの報告を聞いた後、私の目の前の男は鬼のような顔で琉生に目を向ける
「琉生…手は出すなと申したはずだが?」
「申し訳御座いません旦那様。ですが思いのほか抵抗なされたので、こちら側の身の危険を感じました故の不可抗力にございます」
「フンッ言い訳はいらん。私に仕えるお前が負けるわけなかろう!大石家の顔に泥を塗るつもりか!」
「申し訳御座いません…」
頭を深く下げる琉生から男は目線を近藤さんに向けた
「局長殿、すまないが結衣と2人きりにしてもらえるかね。
久しぶりに会えたからな、話したいことがあるのだ」
「そ、そうですね。せっかくの水入らずゆっくりしていって下さい」
近藤さんに招かれ、私と男は部屋へと案内された
「はぁ…トシ!超怖いんだけどあの人!!漏らすかと思ったわ!」
「副長…何者なんですか、あの護衛部隊とかいう奴らも…あの男も…」
「…柴田って男しってるか…」
「柴田っていやァ…4年前の令嬢誘拐事件の…」
「あぁ、第1被害者である柴田財閥の娘の父親だ」
「…だ、だが柴田の娘は父親と共にテロで死んだと…」
「確かに…柴田財閥は4年前に崩壊したさ。だが数年も経たないうちにそこにまた財閥が生まれた。柴田家を追い抜くように発展したその財閥当主は柴田当主の甥…名前は大石司。
つまりあの男は現大石財閥の当主、大石司、
そして…」
「久しぶりだな、娘よ」
『…はい、父上』
「結衣の親父だ」