第23章 災難は1度や2度じゃ終わらない【真選組女中編②】
「あら!あなたは確か真選組の…」
『!』
し、しまった!
「ん?真選組の…なんだ」
やばい!とんでもないタイミングで私の正体が!
『え…っと』
「真選組の最も恐れる攘夷志士、大石蜜子」
私の肩に手を置き、淡々と答える銀さん
「まぁ、じゃあ桂さんの仲間になったってこと?その為に名前も改名を…」
ちょっとー!何かとんでもない設定になってるんですけど!!
「いやまだ正式に決まったわけではないが、身のこなしや状況判断…いずれも我らの仲間になる素質は十分に備わっている。…面接さえ通れば正真正銘の攘夷志士になることも夢ではないぞ」
いや絶対ありえないから!!
ドヤ顔混じりで頷く桂と私が褒められ内心嬉しそうな銀さん
お妙さんは「へぇ、この子が…」と言って私を上から下までまじまじと見つめる
そして次の瞬間、私の手を取り目を輝かせた
「じゃあぜひ、今日の夜ウチの店の手伝いを頼めないかしら!」
『えええ!?や、あの…私この後まだ用事が残ってるので…』
「今日1日だけだから…ね?」
『や…あの…』
桂コノヤロー!!
ようやく解放されると思ったのにこれからキャバクラで接客なんて冗談じゃないよ!!
「ねっ、埋め合わせはきちんとさせて貰うわ」
『いや…そういう問題では…ていうか痛い!折れる手がぁ!』
この場から逃げようと試みるもお妙さんに両手を尋常じゃない力で握られている為身動きが取れない
助けて銀さん!!
すぐ近くにいた銀さんに目で助けを求めるが、彼は何か考える素振りを見せると実に悪戯な笑みを浮かべ私を見つめた
『ぎ、銀さん?』
「いいじゃん、昔金持ちのボンボンの家での使用人としての経験が役に立つかもしれないし」
『はい?』
「えっ!あなたお金持ちの家で使用人として働いてたことがあったの?」
ちょ、また新たな設定が追加されてんですけど!
「そういうことなら接客の仕方もバッチリね、じゃあよろしくお願いするわ!えっと…みっちーさん?」
『……。』
神様……私は一体いつになったらこの地獄から解放されるんでしょうか。