第23章 災難は1度や2度じゃ終わらない【真選組女中編②】
「オイ、そこで何をしている」
あ、…あれはっ!
「「「桂さん!!」」」
か、か、
『桂ぁあああ!?』
そう、そこにいたのは私達真選組最大の宿敵、狂乱の貴公子桂小太郎だった
「そこで一体何をしているのか聞いている、答えろ」
「桂さんついにやりましたよ!幕府の犬…それもあの1番隊隊長沖田総悟の部下を捕らえることに成功しました!」
「この女を人質に利用すれば奴らに目に物見せてやれますよ!」
うそ…コイツら全員桂の仲間だったの!?
喜び浮かれる浪士達とは反対に縄で縛られ天井から吊るされた私を見た桂は顔を強ばらせた
「け…」
『!』
「桂さん?」
「何をしている貴様ら!今すぐこの縄を解き、怪我の手当てをせんか!!」
「し、しかし桂さんこいつは真選組の…」
「黙れ!言い訳をするな!」
桂の怒鳴り声に浪士達は一斉に静かになり、渋々私の縄を解いた
その後、浪士達により頭の傷の手当てが施され、私は不信感を抱きながらも少し離れた所に立つ桂に向き直った
『…』
桂小太郎…前々からどこか掴めない奴だとは思ってたけど敵である私を助けるなんて…一体何を考えてるんだ。
『!』
待てよ、でもこれは桂を捕まえる絶好のチャンスなんじゃ…。
考えが浮かぶと次の瞬間にはもう身体が動いていて
『桂ァァァ!覚悟ー!』
勢い良くその背中目掛けて飛びかかり刀を抜こうとしたその時
『ぐふッ』
自身の腰にその得物がないことに気づき、私はそのまま壁に激突した
「オイ、何をしている。せっかく手当てした傷口が開くではないか」
『くッ…何その無駄な優しさ!』
最悪だ…こんなに近くにいて何も出来ないなんて!
「桂さん、このままあの女を野放しにする気ですか!」
「せっかく捕まえたのに…こんなチャンスそう無いですよ!」
私を解放した事への不満を漏らす浪士達に桂は言う
「関係ない。女子供に手を出すとは貴様らそれでも武士か。
それにだ…」
言いながらこちらに近付いて来た桂は私の手を取り浪士達に向き直った
「こんな華奢な身体の女子(おなご)にどうやって刀が握れるか、この者が真選組女隊士なわけがあるまい」
「『えー…』」
桂の発言に私を含めその場にいた浪士全員が固まった