第22章 立場が変わって初めてわかることもある【真選組女中編①】
「それにしても…あの総悟が"武士失格"…かぁ。そりゃキツかったなー結衣ちゃん」
『まぁ…みたいな感じの事を言われただけなんですけど…あんな風に言われたのは初めてだったのでさすがに少し…いやかなりヘコみました』
「総悟は、口ではそんな風に言っちゃいるが本当は結衣ちゃんのことを誰よりも大切に思ってるんだよ」
近藤さんの言葉に私は眉間に皺を寄せ、彼を見つめた
『でも…頑なに私のことは雌豚扱いだし…いつも"女子力低い"とかって嫌がらせのシャワーを浴びせてくるんですよ。それのどこが大切なんですか?』
「まぁまぁ、それはあれだよ!好きな子ほどイジメちゃうみたいな…さ!」
『好きな子…?』
『いや、それはないですね。絶対に』
「ん、なんか今かなり間が空かなかった?」
苦笑いを浮かべる近藤さんに私は空を見上げ呟いた
『約束…ですから』
- あいつが大切にしてたもん…代わりに今度は俺が護ってやらァ -
そう、沖田隊長が私のそばにいるのは、私の為の約束を果たす為。
「…約束?」
頭にハテナを浮かべる近藤さんに微笑む
『いえ!何でもないです』
でもね沖田隊長、
平河隊長との約束を果たすのは私の方が先ですよ。
だって私はこの場所を…貴方を護るまで死ねないのだから。
クスッと笑う私を近藤さんは訳がわからないといったような顔で見つめた
「あ!ていうかもう6時じゃん!!」
突然立ち上がり、壁に掛けられた時計を見るなり慌て始めた近藤さんを見上げる
『何かあるんですか?』
「あぁ、夜からの任務についての会議だよ…」
『任務…ですか』
「…気になるかい?」
『まぁ…はい、少しだけ』
私の言葉に近藤さんは困ったように笑う
「まぁ、任務と言ってもまた上様のお忍びに付き合うだけだがな」
将軍様の護衛?
「余程のことが起きない限り刀も使わんし、結衣ちゃんも安心だろう?」
『…そ、そうですね』
護衛任務…ということは1番隊も就かされるよね。
…隊士でもない私がついて行くのはさすがにおかしいか…。