第22章 立場が変わって初めてわかることもある【真選組女中編①】
午前5時、真選組屯所縁側
「いい?隊士だった頃と違って正式に女中になったからにはアタシはとことん厳しく指導するからね!」
『は、はぁ…』
「それにあなたが女中になってから2週間よ、もういい加減基本的なことは1人でやってもらわないと」
そう言って池さ…先輩は私の目の前に大きな洗濯カゴを置いてビシッとそれを指差した
「まずは洗濯からよ。やり方は覚えてるわね?」
『えっと…やり方はわかりますけどその洗濯物はどこにあるんですか?』
空の洗濯カゴを見つめ頭にハテナを浮かべる私に先輩は一瞬目を丸くしてその後すぐに不審な目で私を見つめた
「何言ってるの、今から取りに行くに決まってるじゃない」
『え…?』
取りに行く?
「今までは嫁入り前の娘がムサイ男子の部屋に入るなんて危険だろうって考慮してあげてたけど、さすがにもう2週間にもなればそんな甘くはないわよ」
先輩の言葉にサーっと血の気が引いていくのを感じる
『つまりそれは…ひょっとして各隊士の部屋をまわって回収していかなきゃダメってことですか?』
「その通りっ!まぁ、ある程度の部屋は回収したけど例の御三方の部屋はまだなの。だからあなたにはその部屋の回収をお願いするわ」
例の御三方?
「近藤さん、土方さん、沖田さんよ!」
『うわぁ…』
「何嫌そうな顔してんのよ!ゴリラはともかく、あの土方さんと沖田さんの部屋に私達女中が入れることなんて滅多にないのよ!こんな機会ラッキーより他にないじゃないの!」
『いや…私もついこの間まで隊士だったんですけど…』
ていうか近藤さん、女中さん達の間でもゴリラ扱いなの?