第19章 約束は早くしたもん勝ち
『毎度ながら送ってもらってすみません…』
その後屯所までバイクで送ってくれた銀さんに改めてお礼を言うと"パフェの為だから"と言って目を逸らされた
「んじゃ、次の日曜また迎えに来てやるよ」
そう言ってヘルメットを被り直す銀さんを目を丸くして見つめる
『…銀さん、なんか紳士っぽい…』
「はぁ?…今更だっつの」
『いだっ…』
私の言葉に眉間に少し皺を寄せた銀さんのデコピンを食らう
「じゃーな、」
『…うん』
銀さんを見送り、おでこを擦りながら屯所の門を潜ろうとしたその時
「結衣さん!!」
『うわっ!』
一体いつからいたのか、杏子ちゃんが電柱の後ろからひょこっと顔を出す
「見ましたよ!?なんか今物凄くカップルって感じだったじゃないですか!!」
『えっ、か、カップル?』
「銀さんですよ、あの人は確かに少し腹立つ時もありますけど結衣さんにはよく笑ってるし…結構好きなんじゃないですかね?」
杏子ちゃんの言葉に苦笑いを浮かべる
『…えっと…ほら、私達付き合い長いからわりと気を許せるって言うか…お互い甘い物好きだし…ね?』
「でも良い雰囲気でしたよ?…それにデートの約束までしてるし…」
『…え、デート?』
目を点にする私に杏子ちゃんは笑顔で頷く
「はいっ!日曜に迎えに来るって…完璧デートじゃないですか」
『えええっ!違うよ、私と銀さんはただクジ引きで当てたパフェ食べ放題に行くだけで…』
私の言葉に杏子ちゃんは呆れたように溜息をついた
「いいですか結衣さん。例えどんな理由であろうと男と女が休日に仕事以外で出かけるのはデート以外の何ものでもありません」
そ、そうなの!!!?
「まぁでも、最近は友達でも普通に男女で出かけるって聞きますし、全然おかしいことありませんけどね」
『…な、なんか杏子ちゃん恋愛マスターみたいだね』
「絶賛片想い中なので」
「誰が何中だって?」
突然杏子ちゃんの背後から声がした為、顔を向けるとそこには山崎さんの姿があって
「きゃああっ!や、やややや山崎さんッ!!」
真っ赤な顔で急いで私の後ろに隠れる杏子ちゃんを見つめる
…女の子だなぁ。