第2章 昔話は簡潔に
数分後、私達は店を出た
『すみませんでした。急に泣いたりなんかして』
「ほんとでさァ、俺が泣かしたと思われちまったじゃねーか」
『ほんとすみません!!』
やっぱり口に出して話すと色々と込み上げてくるものがあった
『でも…ちょっとスッキリしました…ありがとうございます』
「…大石、」
急に沖田隊長が立ち止まり私に振り返った
「これからは俺の背中だけ見てろィ」
『…えっ』
沖田隊長は私の方へゆっくり近づくと頭に手を乗せ言った
「もうお前は平河じゃねェ、俺の部下だ」
『…!』
「忘れろなんて言わねぇ…ただあいつが大切にしてたもん…代わりに今度は俺が護ってやらァ」
『沖田隊長…』
そう言った沖田隊長の目は真剣で、だけど私の頭に乗った彼の手は温かくて堪えきれずにまた涙が溢れ出した
「今日はよく泣くねィ」
『隊長の…せいですッ…』
「女みてェ」
『女で、すッ!…』
平河隊長、私はまだあなたのことを忘れることは出来ません。
苦しくて、悲しくてとても辛い、
だけど私は一人じゃありません。
平河隊長とは性格も全然違う、ドSで腹黒で
意地悪で憎たらしい
けど彼はとても温かい手をしています…。
彼の隣でなら戦える気がします。
今はまだ護られるだけでも、いつか私が彼を護れたらいいなと思うのです。
だから、見守っていてください。
『私…生きるから』
首に掛けた星の砂が入った瓶をぎゅっと握り締め呟くと、微かにそれが光ったような気がした