第14章 旅のお供には信頼出来る奴を置け【帰省編①】
そう…思ってたけど…。
「おう大石!遅よーさん」
『あ…お、おそようございます…』
翌朝…というか翌昼、またしてもみんなより数時間ほど遅れて目覚めた私はまだ眠い目を擦りながら縁側を歩いた
「大石、この書類お前の部屋の机に置いとくからな」
『…え、はぁ…』
あれ
「大石ちゃん、今日の見回り俺とだから夕方には準備しといてくれよ」
なんか…
「よう!大石。相変わらず寝癖つけたまま人前に出てくるなんて女子力ねェな」
みんな…思ってたより普通なんですけど!?
いや…別に引き止めてほしいとか思ってるわけじゃないけど
「剣はしばらく置いて外で女子力磨いてきた方がいいんじゃねーの?」
ちょっとくらい悲しんでくれてもいいんじゃないのぉぉぉ!?
親指を立てながらドヤ顔をしてきた隊士にアッパーカットをお見舞し私は小走りでその場を後にした
何…みんなそんなに私にいなくなって欲しかったの?
ていうか…こんなんじゃ…まるでいつも通りだ。
いつもと一緒で…昨日のことが嘘みたいに感じてしまう。
嘘で…
"もう長くはないと言われた"
"お前の母上のためにもお前は帰るべきじゃないのか"
あって欲しいと…。
その場に立ち竦む私の肩にそっと誰かの手が置かれた
振り向くとそこにいたのは
「おはよう結衣ちゃん、今日は良い日だね」
山崎さんだった
『いや何が良い日なんですか、何で嬉しそうなんですか、私がいなくなって万歳Dayだからですか!?』
「えええっ!?な、何が…」
『そりゃ…私は女だし、今までみんなの足引っ張ってたかもしれないですけど…隠してたわけじゃないし、私だって本当は…』
「えっと…話が見えないんだけど…いなくなる?っと…隠すって何?」
『えっ…き、聞いてないんですか?』
「え…何を?」
土方さん…まだみんなには言ってないのかな。
「結衣ちゃん?…」
私はしばらく考えた後、ポンっと山崎さんの肩に手を置いた
『いえ、何でもないです。…それより山崎さん…監察の仕事、これからも頑張って下さいね!」
「あ…うん。ありがとう」
頭にハテナを浮かべる山崎さんの横を通り過ぎ沖田隊長の部屋に向かう
沖田隊長…
彼にはちゃんと自分の口で言うって決めたんだ