第13章 嫌な予感ほどよくあたる
いつか、こんな日が来ることはわかってた。
私が本当はここにいるべき人間じゃないこともわかってた。
それでも…
それでも私は平河隊長と、真選組のみんなと一緒にいたかった。
だけど、そんな私の我儘のせいで
- …行くな…大石ッ! -
結局大切な人達を傷つけてしまった…。
「どうした、結衣。久々の再会だというのに嬉しくないのか?」
『…』
「まぁ無理もない…突然連絡もなしに来れば誰だって驚くさ。だがお前はこうでもしないと私と会ってはくれないだろう?」
そう言って目の前の男は私を見つめたまま薄気味悪く笑う
『父上…どうしてここに』
「どうしてだと?大事な娘に親が会いに来るのに一々理由なんているのかね」
『…大事な…娘?』
「そうだ、いくら私の言うことに逆らい家出したからといってもお前が私の大事な娘であることには変わりない」
なんてわかりやすい嘘なんだ。
大事だなんて…本当は思ってないくせに…。
「確かに今回私が来たのはそれだけではない、お前のことだから薄々わかっていよう…」
父上の言うように彼が私に会いに来た理由は何となくわかる
だけと…
『…父上、私を連れ戻そうとしても無駄です!私はもうあそこへは帰らない!…私はここで、彼らと生きていくって決めたんです』
私の言葉に父上は深く溜息をついた
「…全くお前にはつくづく呆れるよ。自分が財閥の娘であるという自覚がないのか…」
『…』
「確かに、あの頃は私も妻や柴田のことで頭がいっぱいでお前にはたくさん辛い思いをさせてしまったかもしれん。だが財閥の娘が次々と誘拐される事件が起き、私は途轍もない危機感を覚えた」
「戻って来て欲しいんだ、結衣」
父上は私の目を真っ直ぐ見つめた
「私にとってお前を失う事がどれほど辛いことなのか、あの時ようやく気づいたんだ。お前は大石財閥より大事な宝なんだよ」
あぁ…
まただ。
- 私は真選組に入ります! -
- ふざけるな!あれは女の行く場所ではない!お前は財閥の娘らしく大人しくここにいて護られてればいいのだッ! −
彼はまた…私を外の世界から遠ざけようとしている。
- ウチに来い、結衣! −
ようやく見つけた私の居場所を
また私から奪おうとしている