第58章 さようなら、イチゴオレ 氷鷹誠矢
説明
朝霧は有名人の子供でしたが、親から暴力を受けていました。親の影響で芸能界に興味を持ち学院へ通うも、他者からの誹謗中傷をうける生徒達を見て暴行をうける自分と彼らを重ねます。
そうしているうちに彼らを救おうと生徒会長になりますができることはなにもない。その結果、皆の愚痴を聞いて回ります。
そのうちに朝霧は気づきました。自分はこの学院が好きでたまらないのだと。名前を名乗らなかったのは単に好きじゃなかっただけもありますが、愛着をもつのが恐ろしかったのです。
いずれ父親の暴力はエスカレートし、自分はどうなるかわからないということは朝霧は気づいていました。
朝霧はある日飲んではまったイチゴオレにだけ執着をすることにして、学院の友達や後輩には一線を引きました。
氷鷹誠矢にもそう接していましたが、最後まで彼の口から愚痴を聞くことはなく、それどころか自分が全てを吐き出してしまっていた。
それが彼には許せなかったのです。
聖夜なんて名前をつけた父親が嫌い。聖夜なんて名前をもつ自分が嫌い。後輩に何もかもを言ってしまう情けなさが嫌い。
募る思いがありすぎた時、彼の世界は変わります。
父親の暴行が明るみに出て学院をやめることに。執着をイチゴオレにだけ注いだので寂しさはありませんでした。
ただ、誠矢と過ごした普通の男子高校生らしき日常が消えるのはとても辛い。
誰も自分を覚えていないのは辛い。
ということで、何となく生徒会室にイチゴオレを残していきました。
その後、彼がどうなったのかわかりません。
ただ、いつしかの日々を。
誠矢や他の人達と過ごした青春を。
大好きなイチゴオレを飲む度に、思い出しているのではないでしょうか。
……………なんて、いう話です自己満足すみません