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短編集…あんさんぶるスターズ!【あんスタ】

第58章 さようなら、イチゴオレ  氷鷹誠矢


「朝霧さん」


屋上の入り口の扉を勢いよく開けた誠矢は息を切らしてその人物に駆け寄った。

名前を呼ばれた人物は牛乳パックのイチゴオレをストローでチュウチュウ吸っていた。


「………………なぁ氷鷹」


空になったパックを面白くなさそうに指先で遊ばせ、低い特徴的な声で喋りだした。


「見逃してくれ」

「それは無理です」


朝霧はちぇ、と言った後にポイとパックを投げた。フェンスを越えた空中にそれは落ちていく。


「ポイ捨てですか?」

「入ってるっつの。見ろや。」


頭を無造作にかきむしりそのまま屋上から背を向ける。氷鷹はフェンスから下を見下ろした。

朝霧が投げたパックは中庭に置かれたゴミ箱の中にあった。
 



































朝霧

それが名字なのか名前なのか、誰も知らない。
彼自身も朝霧としか名乗らないし、誰も知ろうとしない。

テストとかに名前を書くときがあっても、彼は朝霧としか書かない。

全部書くのが面倒なのかもしれない。

もしかしたら名字が朝で名前が霧なのかもしれない。


でも、どうしても氷鷹誠矢は気になった。


朝霧の本名が知りたい。


だから今回は勝負を仕掛けた。





『かくれんぼで勝ったら教えてください』





朝霧は高笑いしながら二言目に承諾した。

そのわりには、とても容易く見つけられた。苦労をしたのは階段をかけ上がったことくらいだ。

しかし見逃してくれなんて言うのだから、何かしらの事情があるのかもしれない。



朝霧。

夢ノ咲学院の生徒会長。



アイドルとしては誠矢の方が人気は上だ。だが知名度は圧倒的に朝霧が上だった。




なぜなら朝霧の親は、有名な俳優だからだ。

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